| 日本ジュニア選手権長良川大会レポート | |
![]() |
|
千里国際学園トライアスロンクラブ 永田悠太(16才高1) 7月31日早朝、天気は曇り、やはり台風の影響なのだろうか。そんなさえない天気の中、車に荷物を積み込み、僕と父親は長良川へむけて出発した。車は吹田のインターから名神高速を名古屋方面へと向かう。天気は一向に良くならない。途中強い風に煽られ車は揺れる。雨もぱらつきだした。明日は大丈夫なのだろうかと心配になる。なんやかんやと思いつつ雑誌に目を通していると気が付けば車は目的地である岐阜羽島のインターに到着していた。岐阜は以外と近い。高速を降り大会会場へと向かう。辺りには、一面田んぼののどかな風景が広がる。しばらくその田園風景の中を走りやがて川に出る。長良川である。明日はここを泳ぐのかと思いつつ、川を眺めると結構波打っている。その昔、この辺りは木曽川、揖斐川、長良川が交じり合う場所でちょっと雨が強く降るとすぐ川が氾濫し水害が絶えなかったという。現在は、明治時代にやってきた日本の土木建築の父とも呼ばれるデレーケさんというオランダ人の土木技術者によって三つの川はそれぞれに分断され、水害は劇的に減った。しかしそうは言ってもこういった場所であるから心配は募るばかりである。やがて目の前に「長良川…トライアスロン」と書かれた幕を掲げた建物が見えてくる。会場である。 建物の中に入るとまだ準備中で、人もあまりいない。それもそのはず、受付は午後1時からなのだが時刻はまだ午前10時。受付まで時間があるので先にスイムの調整へ行こうと父と話していると、役員らしきおじさんが声をかけてきてプールの場所を教えてくれた。そして最後に「プールが閉まっていたら横の中学校で鍵を借りてください。」と付け加えた。結構アバウトだなと思いつつそのプールに向かう。かなりの距離だ。プールに到着するとちょっとした嵐のような天気になっていたので無料の屋外プールで泳ぐのを断念し、すぐ横にある町営の室内プールで泳ぐことにした。思いのほかすいていてよかった。泳ぎ終えて会場にもどると、時刻は1時前。今度は自転車を持って建物に入ると、中はにぎやかになっている。同年代っぽい人も結構見かける。またチームできている人達も多い。受付を済ますと参加賞の入った袋をもらった。なんだかやたら大きくそしてズッシリと重い。見るとメロンが入っている。豪華な参加賞だなと思いながら一緒に入っていたエントリーリストを広げる。僕の出場するクラスは全部で約20人。南は沖縄、北は北海道からの参加者もいる。大会の規模を改めて実感した。沖縄の選手の所属を見てみるとチームゴーヤと記されている。とてもわかりやすい名前だ。競技説明が2時半からあるが時間に余裕があったので、コースの下見に出かけた。バイク、ラン共に完全フラットである。バイクコースは河川敷を行って帰ってという感じでほとんどストレート。舞洲のタイトでテクニカルなコースとは正反対だ。テクニックより脚力そのものが要求されるだろう。ランコースも似たようなものであった。こちらは舞洲の方がダイナミックに感じる。双方ともフラットで広いのは良いが景色が単調である。また構造が基本的に往復のため、風が強いと行くのは楽だが帰りは地獄またはその逆になってしまう。試走のときは帰りが向かい風地獄であった。下見を終え競技説明を聞きに行く。今までの大会と違い、部屋にはプロジェクターとスクリーンまで用意されていて雰囲気が違う。選手より保護者のほうがピリピリしている感じだ。説明はかなり長く、その上審判長の声は小さく聞き辛い。結局説明は一時間にも及んだ。そのあとスイムのスタート位置を決めるくじがあり、くじを引く。くじには番号が書かれており、その順に好きな場所に名前を書き込んでいく。僕の番号は最後であった。なんと縁起の悪い…、まあしかし残り物には福があるという。気を取り直し余った場所を見る。別に悪い場所ではなかった。それに番号は7である。縁起が良い。済んだら今度は開会式である。なかなか忙しい。開会式が始まる。まずはお決まりのスピーチから。立て続けに5人、うち一人は代理。ニュアンスこそ違うが内容は全て一緒である。続いて選手宣誓。途中で詰まっていた。ちゃんと覚えておけよと心で呟く。続いて競技説明。これは先ほど散々聞いたので結構、恐らく国際の部の説明だろう。その後のカーボフェスタ、いわゆる立食パーティーには参加せずに会場を後にして宿へと向かう。 宿は会場から20分ほどのところにある「かんぽの宿」。駐車場にはトライアスリートらしき車が一台止っている。ごく普通の、一般的な旅館である。部屋で浴衣に着替えちょっとした旅行気分に浸る。その後温泉に入って夕食を食べるともう完全に旅行気分である。部屋に戻りランシャツにゼッケンをつけたりしているとだんだんと旅行気分は薄れてゆく。翌朝5時に起床、そして5時半にチェックアウト。完全に旅行気分は無くなり、今日は試合だという緊張感を感じる。 宿を出発する。曇り空でさえない天気おまけに風も強い。こういった夏の大会は曇っているくらいが丁度良いと言われるが、やはり気持ち的には晴れてほしい。大会は晴れの日に限ると思う。途中コンビニに立ち寄り朝食を購入。6時すぎ頃に会場に到着する。さすがにまだあまり選手は来ていない。準備をしてストレッチをしながら7時からのボディチェックを待つ。その間に選手はぞろぞろとやってくる。時間が来たのでボディチェックに行く。両肩と両脚に番号を書いてもらい、手首には計測用のバンドをはめて、スイムキャップをもらう。キャップは番号の書かれたゴムのだろうなと思いきや、まっさらで袋入りの大会名がプリントされたアリーナ製のメッシュキャップであった。めずらしい。チェックを終え自転車をトランジットエリアに設置する。周りには速そうな自転車がずらりと並んでいる。設置も終え準備完了。時間が来たのでスイムのウォームアップに向かう。川を眺めると流れとは逆向きにかなりの波が立っている。川に設置されている階段から川に入っていく。そこにはコケが生えていてずいぶんと滑る。恐ろしい。水は生ぬるい。とにかく泳いで見る。水中は濁っていて潜ると先がまったく見えない。波が高く泳ぎづらい。スイムコースは川を上って下っての一往復だが帰りがつらそうだ。ウォームアップを終えるとあとはスタートを待つのみ。緊張はじわじわと高まっていく。 選手の名前が順番にアナウンスされ昨日決めた順番でスタートラインに並んでいく。僕も名前が呼ばれ川に入り位置につく。浮きながらスタートを待つ。浮いているのは結構しんどい。くぐもったピストルの音が鳴る。スタートだ。一斉にダッシュ。しかし舞州での東野選手のようにロケットみたいにすっ飛んでいく選手はいない。人にもまれときたま蹴られる。まるでえさに群がる鯉のようだ。波に乗っているせいかぐんぐん進む。しばらくすると集団もばらけ、泳ぎやすくなる。結構上位にいる。いい調子だ。折り返し地点に差し掛かる。折り返したとたんに進まなくなる。波のせいだ。泳ぎにくい。途中何度か高い波が押し寄せる。体はシェイクされはめちゃめちゃな気分になる。前方にフィニッシュらしきブイが見える。ぐるりと回りそこに足をつき階段を上っていく。滑りそうで本当に恐ろしい。ふと手首を見ると計測用のバンドがなくなっている。おそらく川で外れたのであろう。しかし審判に言う暇もないのでそのままトランジットエリアにむかう。しかし僕はトランジットがのろい。次々に先を越される。せっかくの順位がパーになってしまった。しかし気を取り直しバイクに飛び乗る。速度はぐんぐん上がる。追い風だ。スピードメーターは50Km/hを指している。しかし順位は一向に上がらない。やっと一人に追いつく。そしてすぐ折り返し。帰りは向かい風なので、風除けにさせてもらう。また一人に追いつく。三人の集団になって進んでいく。途中一人がへばり、二人になる。これで順位はひとつ上がった。また一人へばったと思い前に出る。しかし振り返るとピタッとくっついている。二周目に入る。コーナーの立ち上がりで抜かれる。しかし負けずとついていく。そして再び入れ替わる。横から一人、猛烈な勢いで追い抜いてゆく。隣においてあったバイクだ。速い。カーボンホイールとDHバーは伊達ではなかった。と思いきや再び前方に人影が見える。差はみるみる縮まる。オーバーテイク、後ろにはついていない。折り返して向かい風。前方に何台か見えるものの差はまったく縮まらない。雨がぱらつきだす。冷たい。バイクフィニッシュのラインが見える。バイクを降りてトランジットエリアに走る。トランジットではやはりのろく、ぞろぞろと抜かれる。ランに突入。すぐ一人また一人とばしばし追い抜ける。自分でも不思議だ。その上なぜか苦しくない。これがいわゆるランナーズハイというものなのか、それともペースが遅いだけなのか。よくわからないがとにかく進む。気が付けばもうすぐゴールだ。プログラムに書かれていたゴールではサングラスを外すのが礼儀というフレーズを思い出し、それを外す。ゴール付近ではテンションをあげろといわんばかりにミッキーマウスマーチのパラパラバージョンがかかっている。ついにゴール。緊張感はとけ、かわりに疲れが押し寄せてきた。結果は10位。目標にしていた10位以内にはなんとか入れた。やはり全国レベルとなると手強い輩ばかりである。トランジット等そういうところも詰めていかなければ勝てない。しかし自分の実力を知ることができたことはよかった。これからは自分に自信が持てると思う。 ![]() こうして長良川での戦いは幕を閉じた。心残りなことはただ一つ、天気が悪かったということだけである。 |
|
| >>Back |